羽毛布団の原料となるダウンの価格 2010年〜2024年に入って

いつも羽毛・ダウンの最前線との絆を深め、より良い羽毛製品を提供する事を考え続けた人…故・清水守氏

清水氏 FBZにて

FBZ / ハンガリー

お客様に理解していただけるための新しい基準の構築をし…

いつも,ヨーロッパ取材でお世話になっている故・清水 守氏からご教示いただきました…。

S先生

レイキャビックへの帰路 地元のイン アイスランド


2010年〜2017年 羽毛原料の状況 現場からの報告書

供給状況については1)食生活の変化

欧州を中心に、水鳥/グース及びダック/の食肉用の需要の減少傾向が続いており、ヨーロッパ全体で見れば飼育数量の減少に伴い羽毛の集荷量が近年減少している。(ポーランドでは2013年頃から国策によって食肉としてグースの国内での消費を促進、またドイツへの輸出にも力を入れ、飼育数もこの数年間上昇基調にあります)

2)飼育環境

肉類の需要の減少の上、飼育環境、ハンド・ピックが禁止(欧州の多くの国で法律で規制となりました)となり、羽毛の集荷量自体がが減少している。近年の飼料値上げに伴う飼育経費の増加が著しい。グースの場合は飼育から肉・羽毛の収穫まで最短で7か月必要で、その間のリスクが大きく、また労働環境も厳しい職種で後継者不足の状況が見られる。

需要状況については

1)供給国と需要国、取引先の変化

従来の生産国が消費国に移行し始めている
中国・東欧の生産国の生活水準が上がり、従来輸出していた原羽毛を自国で消費するようになったことで羽毛の需要は急増。 特に、中国においては、ダウン・ジャケットだけでなく、羽毛布団の需要も急増しており、2年前からこの傾向は表れて原料不足に陥っている。 従来、一般的にダウン・ジャケットは安価なダックを使用していたが、高ブランドメーカーの製品には、高品質のグースダウンや高級マザー・グースを使用するようになってきた事も影響がある。

2)原料・原毛は、買い手市場から売り手市場に移行

3年まえから、生産国と消費国の間において、買い手市場から売り手市場に変化移行しており、今年は国内で原料商とメーカーの間でも同様の変化の兆しあり。国内の原料販売会社は手持ちの在庫は多く持たず、価格の急騰により仕入れリスクもあり、静観状態であったが最近は、高値と原料の不足により生産国から原料を入手する事もままならない状況です。
高く払っても、入りにくい状況になっている

2015年は下段に

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欧州の羽毛メーカーの説明では、最近の水鳥の肉の需要は減少傾向が続いており、この傾向は継続する模様で、供給面での増加は期待できない。中国の羽毛に対する国内の需要は価格の上昇に対しても急激には落ちないであろう、ダウン・ジャケットを使用して、羽毛の良さを理解するようになってきた。

30〜40年前の羽毛布団は贅沢品のイメージが強く、その後、普及品のイメージに変わり20年程経ちましたが、今後は生産原料の減少に対して、需要の急増から価格が急騰し、更に円安傾向も伴って、更なる羽毛原料価格の上昇が起こり、贅沢品に逆戻りする可能性があります。以上、清水守氏(故)レポートより抜粋させていただきました。

※円安等為替の問題より、現状は需要と供給の問題が大きな要因と思われる。


京都の布団専門店「眠むの木」と致しまして

清水氏からの報告の通り、日本国内の製造過程において、2013年1月より原毛 が完全に、手に入りにくくなっております。■2013年5月末、中〜上ランクのホワイトグースダウンに関しては、まず非常に手に入り難くなっております。■ 2013年8月、やはり原料の高騰が続いています… ■2013年12月、ホワイトグースダウンが入り難い状況は続いています ■2014年2月ヨーロッパのダウン市場はますますタイトになっています。弊社も3月〜4月より価格改定・スペック変更をさせていただきました。■2014年11月中級以下のダックダウンは、一部市場に出回ってきた状況。2014年春からの羽毛布団の製品の価格高騰に対して低価格商品の供給も見られる。

補足
/2012年5月の時点で、原料の価格が上がりました。その時点では、円高状態にあり、ある程度の価格上昇は、私どもの段階で 吸収し、価格据 え置きと言う 形で2012年冬用としておりましたが、2012年末から私ど もの段階で は吸収できな い状況になってきました。(2013年当時)

「眠むの木」としては、今後も、安心安全の原毛を使用し、適正な価格で安心安全の羽毛布団を全国の皆様にご提供させていただきます。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

2014年4月の時点で、中国の鳥インフルエンザ、またダウンジャケット等の需要の落ち付きで、取引価格が下がり始め…等の情報も有りますが、良質のダウンを採取するヨーロッパ産のグースの入荷がやはり少ない状況が続いています。

2014年7月現在もほぼ同様に推移しています。
2014年9月 純粋なヨーロッパ産のホワイトグースダウンは、やはり高止まりの状況です。2015年には低品質のダックダウンは数量的に供給が可能な状況となりそうな気配があります。

「ダウン・羽毛」と表示されるモノは、採集量も増加の傾向ですが、羽毛布団の原料として、機能的に優れている安心安全の良質のグースダウンの採取量が増える環境ではないと言えます。

2015年1月〜2月

さて、以上の状況により2014年も終え2015年に入った訳ですが、良質のヨーロッパ産のホワイトグースダウンに関しては、高値安定模様ですが、中級以下のダックに関しては、原料が日本国内の企業に余り気味との話もあります。

まず2014年度に実施された消費税アップの前に羽毛布団の取引が相当量行われた様子で消費税が上がってからの買い控え…と言うか既に買う予定のお客様が先買いの結果、秋以降の取引の動きが鈍く「原料の値上がり、また不足を予想」した企業が買い付け備蓄をした原毛が残っている。「再生羽毛」エコロジーと称して中古羽毛の流通を予想して集めた再生羽毛も見受けられる等の状況。

結果、おそらく2015年度春から、ロークォリティー品に関しては、またもや超低価格の品が氾濫する様な予感。中身が見えない商品だけに、ご購入の時は、粗悪な品を買わない様、昨年以上に、注意が必要となります。

2016年の羽毛布団の原毛の状況…

羽毛布団打ち直しのページにもお書きしていますが、日本国内で販売されている羽毛布団の原料(原毛)は、100%に近い状態で海外から輸入されています。2013年度の統計では、総輸入量の76%が中国・台湾・ベトナム等の東南アジアの諸国から、また全体の17%の量が、ポーランド、ハンガリー、フランス等ヨーロッパ諸国、残りの7%は、カナダその他の地域となっています。80%近くが中国・台湾・東南アジアからの輸入量となっているのに、市販されている羽毛製品に「中国産ダウン」という表示が少ないように「眠むの木」では、感じています。品質表示に???の感ありです。

羽毛の品質に関しましては、ダウンそのものの「パワー/成熟度」が基本であり、記載されている産地国の名前、また添付されている、各種のラベルが全てではございません。誤解を恐れずにあえて書きますが、ポーランドやハンガリー産がすべて良いモノであるとは言い切れません。品質の良いモノもあれば、良くないものもあるのです。逆に中国産の羽毛でも、良くないモノもあれば、非常に良い品質のダウンもあるのです。

業界の発展のためにも、産地等にこだわらずに羽毛/ダウンそのものの品質・パワーで安心してお取引が出来るようになることを切に願うところです。
ヨーロッパの上級クラスのグースダウンは、以前高止まりの状態ですが、中級から下のグースダウン及びダックダウンの価格が下がり気味の状況。

中国産のダウンの情報

あえてお書きします。現状では中国産のダウンといえば皆様良いイメージをお持ちでない方がほとんどです(心情的な部分もあるとは思いますが…)。中国産のダウンの品質がすべてが良くないという事ではありません。中国産のダウンでも素晴らしい品質のダウンが手に入ります。その一例をご紹介します。

中国東北部/中華人民共和国の東北側外縁に存在する地域で歴史的に満州と呼ばれていました。遼寧省・吉林省・黒竜江省の東北三省と内モンゴルにわたる地域は、一年の寒暖の差が非常にあり、そこで飼育されるグースやダックのダウンは、本場ヨーロッパ/ハンガリーやポーランドのダウンと比較しても決して劣らない品質のダウンを身にまといます。

「眠むの木」では、「良いモノは良い」をコンセプトに消費者の皆様に適正な品質の羽毛布団を今年もご提案させていただく所存です。どうぞ宜しくお願いいたします。

2017年… やはり気になる鳥インフルエンザ…影響がありそうな予感。

ポーランド産ホワイトグースダウン

今年も、1月10日から13日まで、世界各国から羽毛布団・ダウンの最前線の方々がフランクフルト/ドイツに集まりました。羽毛布団の本場、ポーランド・ハンガリー・ドイツ・オーストリア等々アイスランドのEGとも1年ぶりの再会です。忙しい時間の中でポーランドアニメックス社ティノル(タイノル)社長から、ポーランド国内のホワイトグースの状況を本当に詳しく教えていただきました。随時アップさせていただきます。

文責 「眠むの木」代表 矢持正三


ハンガリーホワイトグース羽毛布団

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